Q.元金が500万円で遅延損害金の利率を10パーセントとした借入金債務(a債務)が、元金が700万円で遅延損害金の利率を14.6パーセントとした借入金債務(b債務)がそれぞれある場合において、借主が100万円の弁済をしたときは、どちらの借入金債務の弁済に充当されるのですか?
A.借主の弁済額が全ての借入金債務を消滅させるのに足りないときは、次のように取り扱われます。
(1)合意充当
貸主と借主との間で充当の順序について合意があるときは、その合意に従い充当されます。
(2)指定充当
合意充当を行わないときは、まず借主が充当を指定することができ、借主がその指定を行わないときは、貸主が充当を指定することができます。ただし、借主が直ちに異議を述べると貸主の充当の効力は発生せず、次の(3)法定充当に従います。
(3)法定充当
次の順序に従い法定充当を行います。
a.借入金債務の中ですでに弁済期にあるものに先に充当する。
b.全ての借入金債務が弁済期にあるとき、又は全ての借入金債務が弁済期にないときは、遅延損害金の利率が高い借入金債務への充当等借主のために弁済の利益が多いものに先に充当する。
c.借主のために弁済の利益が相等しいときは、弁済期が先に到来したもの又は先に到来すべきものに先に充当する。
d.b.及びc.に掲げる事項が相等しい借入金債務の弁済は、各債務の額に応じて充当する。
上記を前提に、例えば、仮にa債務及びb債務のそれぞれの弁済期がともに到来していた場合において、合意充当も指定充当もないときは、遅延損害金の利率が高いb債務から充当することになります。